<エッセイ>                                               
 今は昔 スーパー銭湯 考

【スーパー銭湯へ行った】
 スーパー銭湯へ行った。20分余りの所にあって、脇には尾張四観音の一つ天台宗の龍泉寺がある。もう一方にはプール、
夏場には竜泉寺ウォ―ターパークと銘打って可愛いお姉さま方がテレビでも宣伝をしておりその水着姿に釘付けとなる。
で、そのスーパー銭湯は営業時間がなんと深夜3時までで、私にうってつけなのでござる。

【店構えとアプローチ】
店構えはそれなりにシックで派手さはない、ってユーか営業しているのかどうか真ん前に行かないと解らない。他店同様に
自販機で目的のチケットを購入し入泉する訳だが、さすがは謳い文句だけあって平日390円、休日でも440円の低料金だ!
昔は相当な美人であったであろう受付嬢にチケットを手渡し笑顔でアプローチに入る。そこは亡き父を思い出す空間だ、
古めのカーペットと更に古めの毛立ち度の異なるカーペットが織り成す独特のウェーブは、棚田の文様を描くあぜの如く不可解な
ガムテープによって変化の度合いを容易に判別できてしまうのであるが、ほのかにベタ付く足裏に伝わる感触に今から向かう
更衣室への期待感が否応ナシに上回るのである。亡き父に於いても、家人や客人を思い同様の措置をしていたのものだ。

【序盤は更衣室】
さて、更衣室にあっては壁一面のコインロッカーはフツーなのだが一味違うのはここからだ。約半数にものぼると思われる
「無料」の表示、ぶっきらぼう風に書かれたマジックインキは消えかかりながらも主張している。やさしさとお客を信頼しきった
店主の心構えを容易に読み取ることが出来る、コインをわざわざ投入することも無く利用できるのである。丁寧に投入口に
ガムテープを貼ったものも見られる、二重、いや三重にと僅かにずらしながらの貼り方はなかなか見ごたえのあるもの。残りの内
これまた半数は扉も今後閉まることは皆無と思われる、この時代この景気状況に於いてここで「盗難」の言葉は聞いていない
(って、数回しか来ていないこともあるが)、信頼関係のバランスがほどよく保たれていることの証しを見た。

【浴槽そして露天風呂更にサウナ】
 さてさて、皆さま期待の浴場を紹介しよう、後に判明するのであるが、扉が重いがこれも何かしら深い意図があるのであろう。
照度を落とした場内は壁面のタイルとの融合もあって非常にクラシカルな雰囲気をかもし出している。掛け湯を戴いた後、数々
の浴槽のうち一番近い浴槽に入る…と、ここは水風呂!…浴槽とは湯が入っているものとの先入観を見事に覆すテクニックだ。
ここで倒れてはイッてしまう、気合いを入れて私は見事に立ち直った。読者からは簡単に見破られてしまうが、次からはつま先で
湯温を確認することでこれに対応したことは言うまでもない。バイブラバスやジェットバスも腰・足・半身・全身等、7ブースが
存在するがボコボコしているのは最初に来た時には2箇所、現在は1箇所だ、省エネ精神であろう。泡ぐらい自分でボコボコ
すれば事足りる、他人のセイにしてはいけない。昨日は静かなジェットバスに浸かったが狭いブースゆえ両腕を脇のタイルに
掛けていると両腕とも必然的にシビレてくるではないか、まさに天然電気風呂だ、とユー訳で純粋な電気風呂は未だ入って
いないが、これも期待を裏切ることは有り得ないと確信するので、今後の楽しみと言えよう。シビレの限界を体感したうえ収まりを
もって露天風呂に向かうが、長風呂でのノボセが無い、これは先に記した入口扉の重さに答えたもの。露天との二重扉を全て
省エネ大開放していたことに起因する、その温湿度を更衣室へ持ち込まないための完全な措置であったのだ。
コガネムシが洗い場で気持ちよさそうにしていた訳が解った。
 露天風呂は気持ちが良い、文字通り開放感溢れたモノ。2槽ある内、昨日は1槽のみ湯が張られていた。かろうじて張られ
ている湯に浸かり心休め目を閉じるがゴゴゴ・・・ガガガ・・・とちょっと地響き感も伴う、温泉を掘っているのか、はたまた油田
を掘っているのか不明だが実に野性的でもある。目を明けて飛び込んでくるもう一方の浴槽や外壁・屋根の朽ちた様子は
懐かしささえも感じさせるものだ。温まりきらない身体をもって屋内のサウナへ飛び込む、場所は前記した水風呂の脇にあるので、
サウナ側から見れば当然であって、館側に何の落ち度も見られない。あっ、サウナは老若全般を受け入れる如く温度は
低めだが問題はない、長く居れば暑さも増して高温サウナ同様の効果が得られるのである、ただ一点、内装の木材が時折り
体勢を変えるタイミングでお尻に刺さるので利用される方は気を抜いてはならないと伝えておこう。

【洗い場】
 ここまでくると入浴後に身体を洗うタイプだと見破られてしまったかもしれないが、実は外ではそうである。
洗い場のタイプは固定シャワーで湯音調節は好き勝手に操作できない、ある意味便利だ。椅子はプラスチックなど安価なもの
でなく、大理石風の40aほどの長椅子で固定式だ、例え固定していなくとも決して移動できないスグレモノ。
但し、一度石けんがお尻に付着するとツルツルで安定した姿勢を保つことが不可能となるが、
帰宅時に脇腹の筋肉がピキピキくるのは紛れもないここからの効果だ。
そして湯屋カランはオールドタイプながらもオートストップのプッシュ式で湯水別々、時折り出っ放しになるものの
驚きには値しない。解説については設備設計の仕事柄ゆえ専門用語・専門知識を交えるが、解説・・・青小ねじは世間的には
≪水≫を表し赤小ねじは≪湯≫を表す、効き手の右側に水、そうでない左側に湯を配する(一応世界共通)。しかし、それは
一応なだけでここではそれを打開する驚きに匹敵する発見することになったのだ。端から順に観察して行くと時折り青・青?
フェイントや吐水しないものなどもありとても楽しい、一部では青・赤が逆転しているが小ねじの付け間違いかと思いきや右から湯、
左が水だ。実際使ってみると湯水を調節しない限り水になることもなく比較的一定なヌル目で、利き手の右だけの操作となって
おり、使い勝手が良く利用者の立場になっていることが伝わってくる。席のところどころ、前面上部にこれまたマジックで番号が
記されている。明らかではないがソープ・シャンプー容器の設置ポイントかと思われるが一つおきでもないような・・・、
今後解明する課題が増えた。その容器、名古屋は今池の老舗<(仮名)スオミの湯>のチェーン店であること、
半分はがれたシールでもって明らかに判明した次第。30ん年前よく利用させて頂いた今池店だったのだ。

【そして退出・感想】
 かくして懐かしさも併せて、夢心地にさせられてしまった<ゆめのスーパー銭湯>
退出する時の愛想の無さも都会的で、とってもイイ感じ。

今となっては遠い昔のお話、懐かしさだけが残ります。

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